ブラウザの枠が漆黒に染まり、見慣れたスタートページが消える。この挙動の正体は、ウェブブラウザに標準搭載された保護機能の作動だ。AppleのSafariでは「プライベートブラウジング」、Google Chromeでは「シークレットモード」と呼ばれるこの空間は、利用者の閲覧データをローカル環境に一切残さない隔離シェルターとして設計されている。
Chromiumエンジンを採用するChromeも、WebKitを基盤とするSafariも、目指す思想は極めて近い。Cookieや検索履歴、フォームに入力した個人情報をセッション終了と同時に完全破棄する。AppleのCEOであるTim Cookが幾度となく強調してきた「ユーザーデータの聖域化」が、まさにこの黒いインターフェースに凝縮されている。だが、保護レベルが上がる一方で、通常の操作感が失われるギャップに戸惑う声はやまない。