トレイルランニングの過酷さを語る上で、避けて通れないのが山岳マラソン特有の危険度です。ロードレースとは異なり、一歩足を踏み外せば数十メートル滑落する危険性がある尾根道や、天候の急変によって一瞬で命の危機に瀕する高山地帯を通過します。
国内外の大会や個人的な山行を含め、トレラン中の滑落や心疾患、低体温症による死亡事故リスクは常に存在します。救急車が数分で駆けつけられる街中とは違い、山岳地帯での救助要請はヘリコプターの手配や山岳救助隊の出動を要し、救出までに数時間から半日以上の時間を要することも珍しくありません。
肉体的なダメージも深刻です。激しい下りの着地衝撃による半月板や靭帯の損傷、慢性的な足底腱膜炎、さらには筋細胞が破壊されて血液中に流出する横紋筋融解症による急性腎不全など、長期的な後遺症を残すリスクもあります。トレランの魅力と危険性は常に表裏一体であり、「ただの流行り」として軽装で山に入る行為は自殺行為に等しいと言えます。