現在、最も極右勢力の台頭が鮮明になっているのがヨーロッパ地域です。かつては政治の周縁に追いやられていた政党が、国政選挙や欧州議会選挙で第1党・第2党を争う存在へと変貌を遂げています。
象徴的な例が、フランスの国民連合(RN)です。マリーヌ・ル・ペン氏らが主導してきた同党は、露骨な反ユダヤ主義や過激な差別発言を払拭する「脱悪魔化」を進め、物価高や治安改善を訴えて労働者層や若年層の支持を急速に獲得しました。
また、ドイツのための選択肢(AfD)の躍進も欧州全土を震撼させています。旧東ドイツ地域を足がかりに支持を広げたAfDは、徹底した移民排斥とロシアへの宥和姿勢を打ち出し、既成政党を脅かす一大勢力に成長しました。イタリアでは「イタリアの同胞(FdI)」を率いるジョルジャ・メローニ氏が首相に就任し、オランダやオーストリアでも急進右派が議会で主導権を握るなど、地殻変動が続いています。
欧州でこれほど極右政党が台頭する背景には、3つの明確な要因が存在します。
1. 長引くインフレと生活苦:エネルギー価格の高騰や実質賃金の伸び悩みが、中間層や地方都市の住民に強い閉塞感を与えたこと。
2. 移民・難民政策の統合不全:文化的な摩擦や治安への懸念に対し、既存のリベラル・中道政党が有効な解決策を示せなかったこと。
3. エリート政治への強烈な不信:既成政党に対する「自分たちの声を聞いていない」という有権者の怒りを、極右勢力がポピュリズム的手法で巧みに吸収したこと。