極寒の草原で父を毒殺され、一族から見捨てられた少年テムジン。彼の前半生は、まさに生き残りをかけた極限の泥沼劇だった。明日食うものすら怪しい極貧の境遇から、いかにして広大な草原の諸部族を一つに束ね上げることができたのか。
最新の古人骨DNA解析と気候データの分析により、当時の草原地帯は歴史的な大干ばつに見舞われていたことが判明している。絶望的な資源の奪い合いのなかで、彼は血縁や家柄にとらわれない完全な実力主義を採用した。かつての敵であっても優秀な将校として重用し、戦利品を平等に分配するカリスマ的システム。それこそが、無名の孤児を全モンゴル族の頂点である「ハン」へと押し上げた覚醒の真相である。