足元を埋め尽くす大量の空き缶、腐敗した生ゴミ、そして何年分もの衣類。外から見れば単なる不法投棄の拡大に見える光景も、当事者にとっては「世界からの攻撃を防ぐ壁」であったり、意欲の減退によって物理的に動けなくなった結果であったりする。統合失調症が発症すると、陰性症状による著しい意欲低下や企画の障害(物事を順序立てて実行できない状態)、さらには幻覚や被害妄想が生じ、自分自身の身の回りを整えるセルフネグレクトへと容易に陥ってしまう。
誰の助けも求められず、部屋の鍵を閉め切ったまま社会から孤立していく悪循環。助けを呼ぶ声すらあげられないまま自責の念に押し潰される当事者たちの叫びは、重いドアの向こう側に封じ込められている。