日常やビジネス文書、契約書などで見かける「依って件の如し(よってくだんのごとし)」という言い回しがあります。「上記の通り間違いありません」という意味で文末に添えられる結び言葉です。
この言葉の語源について「予言を絶対に外さない妖怪『件』に由来する」と説明されることがありますが、歴史的な語源としては逆です。
古文や漢文において、「件」は本来「くだん=前述の事柄、あの件」を指す指示語であり、平安時代から鎌倉時代の公文書において「これまで書いた内容に相違ない」という定型句として「件の如し」が使われていました。後になって、その「絶対に狂いがない・間違いがない」というニュアンスが、人面牛の予言伝承と結びつき、「くだんは嘘をつかないから『件の如し』と言うのだ」という民間語源(語源俗解)が後付けで作られたのが真相です。