ファンが「結婚」という未来を確実視する背景には、あらいきよこ先生が作中の随所に忍ばせた丁寧な心理描写と伏線の積み重ねが存在する。初期の渚吾が見せていた傲慢なプライドが、綺里との出会いによって解きほぐされ、やがて彼女の才能を最も尊重する庇護者にして好敵手へと変化していく過程は見事というほかない。
連載当時の番外編やカラーイラスト、巻末コメントなどに散りばめられた二人の空気感は、常に「その先」を予感させるものだった。本編完結後の大人になった二人を想像させるエピソードの数々は、互いの実力を認め合うプロ同士だからこそ到達できる、成熟した愛情の形を示唆している。過度な甘さに頼らず、背中を預け合う関係性を徹底して貫いたからこそ、公式が描いた行間には普遍的な説得力が宿っている。