「昔はバッグ一面にバッジを敷き詰めるのが熱量の証でした。でも今は、あえて1つだけお気に入りの限定バッジを見せる方が洗練されて見えるんです」
都内のイベント会場で取材に応じた20代の女性は、胸元に下げた小さめのレザー調ショルダーバッグを嬉しそうに見せてくれた。クリアポケットの中に収められているのは、美しくデザインされた1枚の缶バッジのみ。余白を活かした配置は、まるで美術館の展示ケースのような静かな存在感を放っている。
かつての痛バは「量の勝負」という側面が強かった。缶バッジを50枚、100枚と集めるには多大なコストと時間がかかる。しかし小型バッグの登場により、「推しの一番好きなビジュアルを1点だけ飾る」「カラーコーディネートを重視する」といった、洗練された美的センスを楽しむ新しいファン層が開拓されたのだ。