吉原駅から北へと伸びる全長9.2キロの岳南電車。かつて地域の紙産業を支えたこの小さなローカル線は、旅客減少による存続の危機を何度も乗り越えてきた。ブレイクスルーのきっかけは、全10駅から富士山が望めるという唯一無二のロケーションを前面に打ち出した大胆なブランディングだ。
富士山を車窓から眺める特別列車の定期運行や、写真撮影に特化した「低速走行タイム」の設定など、移動そのものをエンターテインメント化する試みがヒットした。鉄道事業の赤字脱却に向けた地域一丸の熱量が、観光客の目的地へと昇華させた形だ。