増井朗人の偉大さは、プレイヤーとしての圧倒的な技術だけにとどまらない。スタジオワークにおけるホーンアレンジャー(管編曲家)としての才覚もまた、日本の音楽シーンに深い足跡を残している。
最も有名な仕事の一つが、2002年に大ヒットを記録した元ちとせのデビューシングル「わだつみの木」だ。奄美民謡の独特な節回しを持つボーカルに対し、管楽器がどのようなトーンで寄り添うべきか。増井の手掛けた繊細かつドラマチックなアレンジは、楽曲に圧倒的な奥行きを与え、ヒットを裏から支える決定的な要素となった。
- 元ちとせ「わだつみの木」: 民族的な情念とモダンなアンサンブルの高度な融合。
- モーニング娘。 / アフィリア・サーガ: アイドルポップスにおける弾けるようなホーンセクションの構築。
- HEY-SMITH: 現代のメロディック・スカパンクシーンを牽引するバンドのホーンアレンジ協力。
- THE CHERRY COKES / HOT SQUALL: アイリッシュパンクやメロディックハードコアにおける重厚なブラスワークの注入。
ジャンルを横断しながらも、決して自身のサウンドのブレを感じさせない。アーティストが求める世界観を瞬時に理解し、それを管楽器のアンサンブルに翻訳する能力において、彼の右に出る者はいない。