シリアスなバトルものと並び、松岡の真骨頂と言えるのがラブコメディにおける卓越したコメディセンスだ。『五等分の花嫁』の上杉風太郎役で見せたように、個性豊かなヒロインたちに振り回されながらも芯の通った主人公像を軽妙に演じ切るバランス感覚は秀逸である。テンポの速い掛け合い、コミカルな悲鳴、そしてシリアスな場面での温かみのある低音。その変幻自在なアプローチは、作品の魅力を何倍にも引き立てる。
どんなに非日常的な設定であっても、彼が声を吹き込むことでキャラクターは血の通った人間として息づき始める。滑稽さと切なさが同居する独特の間合いは、徹底した人間観察と役への深い共感から生まれている。群像劇の中心にあって物語を力強くドライブさせるその推進力は、多くのクリエイターから絶大な信頼を寄せられる所以だ。