「タモリの娘」という幻影を追いかける世間の視線は、裏を返せば「誰もが知る国民的スターには、自分たちと同じような標準的な家庭があってほしい」という大衆の無意識の願望なのかもしれない。血を受け継ぐ後継者がいて、家督を継ぐという古典的な物語への期待だ。
しかし、タモリ(森田一義)という表現者は、そうしたステレオタイプの幸福論を軽やかに飛び越えてみせた。妻と二人、互いの独立性を尊重しながら趣味と仕事に没頭し、老境に入ってもなお颯爽と日常を謳歌する。子供の有無や遺産の多寡などで測ることのできない、圧倒的な自由と矜持がそこにはある。
彼が昭和から令和の日本に残した最大の足跡は、膨大な番組アーカイブや金銭的資産だけではない。「世間の型にはまらなくても、人間はここまで豊かに、面白がって生きられる」という鮮烈な生の軌跡そのものが、彼が遺すかけがえのない遺産なのだ。 (出典: タモリ 娘(Yahoo!ニュース))
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