オープンセットに足を踏み入れた瞬間、異様な緊張感に息を呑んだ。製作幹部が「妥協は一切許されない」と語る通り、数千平米に及ぶ山林を切り拓いて再現された山城と砦の威容は圧巻の一言に尽きる。CG全盛の時代にあえて実物大の砦を組み上げ、土埃と泥にまみれながら撮影を敢行するスタイルは、現場の熱量を極限まで引き上げている。
美術チームは当時の古文書を徹底的に洗い出し、野戦における武具の損耗具合や甲冑の重量感までミリ単位で再現した。現場スタッフによれば、照明を極力落とした夜間撮影では本物の松明(たいまつ)の炎のみを光源に据え、息が白くなる過酷な寒冷地での長回し撮影が連日続いたという。過酷を極めるロケ地で生まれた生々しい映像美は、観る者の皮膚感覚をダイレクトに刺激するはずだ。