ネット上で野獣先輩の代名詞として根付いている「田所浩二」という名称ですが、これが本名であるという公的な根拠は全くありません。初期のネットコミュニティにおいて、著名な野球選手やタレントの名前を組み合わせた悪ふざけの語呂合わせから定着した「架空の役名」が、いつしか事実であるかのように独り歩きした結果に過ぎません。
特定の試みが狂騒へと発展したのが、卒業アルバムの流出をめぐる冤罪事件の連鎖です。2010年代前半、匿名掲示板の特定班を自称する集団が、都内私立大学や世田谷区・練馬区などの公立高校の卒業アルバム画像を次々と投下。耳の形や鼻梁の角度が酷似しているとして、一般男性の氏名や勤務先、実家の住所までが白日の下に晒される事態となりました。しかし、弁護士を介した調査や第三者機関の照合により、それらはことごとく無関係な一般人に対する悪質なプライバシー侵害・肖像権侵害であったことが確認されています。
さらにネット文化の病理を象徴したのが、一部の過激な扇動者やYouTuberによる「懸賞金騒動」です。ネット上に「決定的な居場所を提供した者に100万円を支払う」「本名と現住所の確定情報に賞金を懸ける」といった呼びかけがなされ、私設バウンティハンター紛いの一般ユーザーが街頭や職場へ凸(突撃取材)を試みる暴挙が頻発しました。当然ながら、一般人をターゲットとしたこうした捜索行為は刑法上の脅迫罪や名誉毀損罪、ストーカー規制法違反に抵触する恐れが極めて高い違法な行為です。結果として、誰も賞金を手にすることなく、複数の告発者が法的措置を警告されて幕引きとなりました。