給与計算において、事業主も労働者も見落としがちな最大の落とし穴が、手当・交通費の最低賃金算入除外の規定です。最低賃金法第4条および労働基準法施行規則に基づき、以下の手当は最低賃金の対象賃金から完全に除外して計算しなければなりません。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当、慶弔見舞金など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与・ボーナスなど)
- 時間外・休日・深夜割増賃金(残業代や22時以降の25%割増分)
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
例えば、基本時給が1,000円で通勤手当が時給換算100円相当、合計1,100円が支給されていたとします。地域の最低賃金が1,050円の場合、会社側が「合計で1,100円払っているからクリアしている」と主張しても、通勤手当を除外した純粋な基本給は1,000円であるため、明確な法違反(最低賃金割れ)となります。
また、求人票で頻繁に見かける「試用期間3か月は時給◯◯円」という条件にも法的な罠が存在します。試用期間・研修中の最低賃金ルールとして、都道府県労働局長の特例許可を正式に受けていない限り、研修中であっても最低賃金を1円たりとも下回ることは禁止されています。特例許可の要件は極めて厳格であり、一般的な飲食業や小売業のアルバイト研修で許可が下りるケースは実質的に皆無に等しいのが実情です。
さらに、高校生バイト 最低賃金の適用についてもネット上で誤解が蔓延しています。「高校生は一律で最低賃金より低くてよい」という例外規定は法律上に存在しません。年齢や学歴、国籍に関係なく、労働契約を結んで働くすべての人に同一地域の最低賃金が等しく保障されています。