「矢島工務店」が単なる一過性のナンセンスコントに終わらず、音楽史に刻まれる伝説となった最大の要因は、バックを固めたスタジオミュージシャンの凄まじい顔ぶれと楽曲制作の徹底した本気度にあります。
ステージ上でフロントマンを務めたのは、ボーカルの石橋貴明と、エキセントリックなギターパフォーマンスを披露した木梨憲武の2人でした。しかし、その背後で実際に楽器を鳴らし、レコーディングおよび当て振り演奏の現場に参加していたのは、日本を代表するトッププロたちでした。
代表曲として歌われた楽曲の歌詞には、「クギ」「カナヅチ」「モルタル」「足場組み」「昼休憩の缶コーヒー」といった極めて泥臭い大工用語が並んでいました。しかし、そのバカバカしい言葉の数々が、後藤次利氏の緻密なアレンジと超一流プレイヤーたちの狂気じみた技巧によってメロディに乗せられることで、「最高級の無駄遣い」とも呼ぶべき唯一無二のエンターテインメントへと昇華したのです。