四十肩の初期から中期にかけて、多くの患者が精神的限界まで追い込まれる最大の要因が「夜間痛(やかんつう)」です。昼間は我慢できる鈍痛だったものが、布団に入って横になった途端、肩の奥をえぐられるようなズキズキとした拍動痛へと変貌し、睡眠を奪います。
夜間痛が発生する主因は、横臥位(横たわった状態)になることで生じる「関節内圧の上昇」と「重力ベクトルの変化」にあります。立位では腕が自然に下方へ引っ張られていますが、仰向けに寝ると上腕骨頭が後方へ沈み込み、炎症を起こしている肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)や烏口肩峰靱帯(うこうけんぽうじんたい)を圧迫します。さらに、夜間の副交感神経優位に伴う血流変化や局所の冷えが、発痛物質の滞留に拍車をかけます。
医療現場でも指導される即効性のある対処法が、「バスタオルやクッションを用いた夜間ポジショニング」です。仰向けで寝る際は、痛む側の肘から手首の下に折りたたんだバスタオルを敷き、肘が肩より後方に落ち込まないよう数センチ持ち上げます。これにより肩関節が軽度屈曲・内旋の「中間位」に保持され、関節包の内圧が著しく低下します。横向きで寝る場合は、痛む肩を必ず上側にし、抱き枕やクッションを前腕で抱え込むことで、腕の重みによる牽引ストレスを完全に遮断できます。