カウンターの奥で流麗な手さばきを見せるのは、本場・福建省で長年修行を積んだ伝統茶芸師だ。対して、メニュー構成や空間の調和を監修するのは、京都で研鑽を積んだ新進気鋭の茶道家。一見すると出自の異なる二人のプロフェッショナルが、互いの領分を侵すことなく背中を預け合っている。
温度計に頼ることはない。茶葉が開く微かな音、立ち上る水蒸気の揺らぎ、そして外の湿度。すべてを五感で察知し、抽出時間を秒単位でアジャストしていく。「同じ茶葉でも、朝と夕方では異なる顔を見せる。私たちはただ、その茶が最も美しく息づく瞬間を切り取ってお出しするだけです」。伝統の枠に囚われない対話から生まれる一杯は、まさに液体のアートと呼ぶにふさわしい。