舞台となった赤穂市民病院の脳神経外科では、2019年9月から2026年2月にかけてのわずか半年余りの間に、同一の医師が関与する重大な医療事故が8件連続して発生した。頸動脈内膜剥離術での血管損傷、脊椎手術での神経切断、ドリルによる骨削開時の硬膜損傷。通常では考えられない頻度と内容のミスが連日繰り返されていた。
被害に遭った患者たちの運命はあまりにも過酷だ。70代女性は腰椎の手術中にドリルで神経を巻き込まれて切断され、両足の麻痺や排泄機能の全廃という重篤な後遺障害を負った。別の患者は脳動脈瘤の手術後にくも膜下出血を発症して死亡している。現場の看護師や麻酔科医、同僚の脳神経外科医が「これ以上手術をさせてはならない」と院長らに直訴したにもかかわらず、病院側は抜本的な執刀停止措置を講じるまでに致命的な時間を費やした。