観光客の多くが見落としがちな事実がある。アルカトラズは凶悪犯の檻である前に、先住民族レジスタンスの聖地だった。刑務所閉鎖から6年後の1969年、権利回復を求めるネイティブ・アメリカンの若者たち「Indians of All Tribes」が島を不法占拠した。その期間は実に19か月におよぶ。
フェリー発着所の給水塔を見上げると、赤ペンキで殴り書きされた「Peace and Freedom. Welcome to the Home of the Free Indian Land」の文字が今も褪せた色調で残る。2026年、先住民族の歴史的トラウマを再考する連邦プログラムの一環として、このグラフィティの保存修復作業が本格化した。国家の暴力に押しつぶされてきた側が、国家の威信の象徴だった島を占拠し、自らの尊厳を刻みつけた逆転の歴史。アルカトラズの壁には、罪人たちの嘆きだけでなく、自由を渇望した人々の叫びが染み付いている。