電圧降下の許容範囲はなぜ厳格?内線規程基準と計算式の真相まとめ

電圧降下の許容範囲はなぜ厳格?内線規程基準と計算式の真相まとめ

電圧降下の許容範囲はなぜ厳格?内線規程基準と計算式の真相まとめの真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

実務や国家試験の現場で必須となるのが電圧降下の計算式です。現場の電気技術者は、電線の導電率や許容電流、線路こう長($L$ [m])、負荷電流($I$ [A])、電線の導体断面積($A$ [$\text{mm}^2$])から導き出される「簡易計算式」を常用します。しかし、なぜ配線方式によって「35.6」「17.8」「30.8」という中途半端な係数が登場するのでしょうか。

この係数の母体は、標準軟銅線の導電率(抵抗率 $\rho \approx \frac{1}{56}$ から $\frac{1}{58} \ \Omega\cdot\text{mm}^2/\text{m}$)に由来しています。導体温度が上昇した実運転状態(約75℃〜90℃)を考慮した実効抵抗率をベースに、$1000 \div 56 \approx 17.857$ という基本定数が導かれています。この「17.8」を基礎として、配線方式ごとの電流の往復・相関係数が掛け合わされているのです。

1. 単相2線式の計算式(係数:35.6)

単相2線式は行きと帰りの2本の電線に全く同一の負荷電流が流れます。したがって抵抗は2倍となり、$17.8 \times 2 = 35.6$ が用いられます。

$$e = \frac{35.6 \times L \times I}{1000 \times A}$$

2. 単相3線式の計算式(係数:17.8)

単相3線式において負荷が平衡している場合、中性線には電流が流れません。電圧線1本当たりの電圧降下を見ればよいため、係数は基礎値のまま「17.8」となります(中性線と各相間の100V回路を評価する場合)。

$$e = \frac{17.8 \times L \times I}{1000 \times A}$$

3. 三相3線式の計算式(係数:30.8)

動力設備で主流となる三相3線式では、線間電圧降下を求める際に各相の位相差(120度)が関わります。相電圧の降下に対して線間電圧降下は $\sqrt{3} \approx 1.732$ 倍となるため、$17.8 \times \sqrt{3} \approx 30.828$ となり、四捨五入して「30.8」という定数が導かれます。

$$e = \frac{30.8 \times L \times I}{1000 \times A}$$

実務上の重要ポイントとして、三相3線式で計算される「$e$」は線間電圧降下(V)である点に留意しなければなりません。200V回路で $e = 4\text{V}$ と算出された場合、降下率は $\frac{4}{200} \times 100 = 2.0\%$ となり、内線規程の基本許容範囲(2%)の境界線上にあると判断できます。

鈴木 陽菜
Author

鈴木 陽菜

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。