ネット上の考察コミュニティやSNSで長年語り継がれているのが、「カールじいさん死亡説」という都市伝説です。この説では、主人公のカール・フレドリクセンは立ち退きを迫られ老人ホームへ入居する前夜、ベッドの中で静かに息を引き取っており、その後の空飛ぶ家での冒険はすべて「死後の世界(天国)へ向かう魂の旅」であると解釈されます。
都市伝説を支持する人々は、作中の要素を次のような象徴として捉えています。
- 空飛ぶ家:肉体を離れて天国へ昇っていく魂の象徴
- 少年ラッセル:カールの魂を天国へと導く「守護天使」(最後のバッジを手に入れることで一人前の天使になる試練中)
- パラダイスの滝:地上には存在しない「天国・極楽浄土(パラダイス)」そのもの
- 犬のダグや怪鳥ケヴィン:冥界の案内人や異世界の住人
非常に詩的で説得力すら感じさせる解釈ですが、監督のピート・ドクターをはじめとするピクサー制作陣はこの死亡説を明確に否定しています。ピクサーが描こうとしたのは死後のファンタジーではなく、「大切な人を失った高齢者が、いかにして深い喪失感と孤独を乗り越え、現実の世界で再び新たな一歩を踏み出すか」という極めて現実的で力強いグリーフケアと人生の再生の物語です。
家が空を飛ぶという突飛なアイデアは、老朽化した家にしがみつくカールの頑固さと「妻との約束に縛られた執着心」を視覚化したもの。死のメタファーではなく、生きて再び誰かと心を通わせるプロセスの具現化こそが物語の真骨頂です。