作品の産声を上げたのは、若き日のウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの手によるものだった。映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤーのスタジオで生まれた初期の作画は、驚くほど写実的で繊細。トムの毛並みは一本ずつ細かく描き込まれ、本物のネコが持つ柔らかな質感が画面いっぱいに表現されていた。
その後、1950年代にかけて作風は洗練されたモダニズムへとシフトしていく。無駄な線を削ぎ落としたスタイリッシュなグラフィック表現は、当時の海外アニメにおける作画技術の頂点を極めた。海外アニメを代表する金字塔として、世界のアニメーション産業全体に計り知れない足跡を残した瞬間だ。