新喜劇の座長を勇退して以降、彼の活躍の場はなんばグランド花月の舞台だけに留まらなくなった。NHKの連続テレビ小説をはじめとする映像作品において、物語のリアリティを支えるキーパーソンとして引っ張りだこの状態が続いている。
演技の世界において「ごく普通の日常を生きる人間」を自然に演じ切ることは、最も難易度が高いとされる。突拍子もないキャラクターを演じるよりも、視聴者に「どこかにいそうな近所のおじさん」「真面目だがどこか哀愁漂う父親」と思わせる方がはるかに緻密な表現力を要するからだ。内場が画面に現れるだけで作品に不思議な安心感と奥行きが生まれるのは、長年の喜劇舞台で培われた鋭い人間観察の賜物に他ならない。