特に有名なのが、第28話「指」や第58話「快楽の終幕」といったエピソードだ。「指」は、多指症(指の数が通常より多い先天性の状態)をテーマにしており、当時の自主規制によって単行本から排除された。「快楽の終幕」は、薬物中毒や精神の崩壊を強烈なビジュアルで描いたため、再録が見送られている。
これらの作品を実際に読んだことのある古いファンは、「ただショッキングなだけでなく、手塚らしい人間愛に満ちた傑作だ」と口を揃える。表現の一部だけを切り取って全体を否定することが、果たして正しいことなのか。未収録作品は、私たちにそう問いかけているようだ。