「システム更新に十数億円。それなら地域に還元できる自前インフラに切り替えるべきだ」。2026年秋、熊本県内のバス事業者らが下した全国交通系ICカード離脱の決断は、全国の交通業界に激震を走らせた。あれから1年半が経過した現在、現場にはどのような変化が訪れたのだろうか。
結果から言えば、懸念された観光客や出張者の混乱は最小限に抑えられた。VISAやMastercardなどのタッチ決済が幅広く浸透したことで、訪日外国人旅行者からは「むしろ自国のカードがそのまま使えて便利になった」という声すら聞かれる。高額な手数料や端末機器の更新コストに縛られ続けた従来モデルからの脱却は、事業者の経営改善に大きく寄与した。経営体力の回復は、そのままダイヤ維持や運転手の待遇改善へと還元されつつある。