仙台の「龍亭」と東京の「揚子江菜館」、どちらが真の元祖なのかという議論は長年交わされてきましたが、両者のアプローチには明確な違いが存在します。
龍亭は、組合組織の料理人たちが知恵を絞り、猛暑の集客対策として「味付けとタレの配合、冷たい麺の提供システム」を確立させた実用・構造面でのパイオニアです。一方の揚子江菜館は、中国伝統の冷菜技術を土台に、富士山の美意識を取り入れて「細切り具材を放射状に美しく盛り付けるデザイン」を完成させたビジュアル・様式美のパイオニアと言えます。
双方がほぼ同時期である昭和初期に、それぞれの現場で創意工夫を凝らした結果、現在私たちが親しむ「冷たくて甘酸っぱく、彩り鮮やかな冷やし中華」へと結実していったというのが、歴史的な真相です。