ウルフルズといえば『ガッツだぜ!!』や『ええねん』といった痛快な応援ソングを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、彼らの真骨頂はブルースやソウルミュージックに根ざした「人間の泥臭さや弱さへの眼差し」にあります。『泣けてくる』がリスナーの心を激しく揺さぶる最大の理由は、安易な励ましや綺麗事を一切並べていない点にあります。
日々の生活の中で、誰にも言えない悔しさや、どれだけ頑張っても報われない虚しさを抱える瞬間は誰にでも訪れます。本作の歌詞に描かれているのは、特別なドラマではなく、どこにでもある日常のワンシーンと、ふとした瞬間に押し寄せるやるせなさです。悲しいとき、寂しいときに「頑張れ」と背中を押されるのではなく、「泣けてくるよな」と一緒に肩を落としてくれるような温度感こそが、張り詰めた心の緊張を解きほぐします。
トータス松本のハスキーで情感豊かなボーカルが乗ることで、言葉のひとつひとつが生々しい体温を帯びて届きます。理屈抜きの説得力を持つトータス松本の圧倒的な歌唱力があるからこそ、聴き手は自分自身の不器用な生き方を肯定されたような安心感を覚え、自然と涙を流してしまうのです。