1990年代半ば、スーパーファミコン向けソフトの容量はどれほど大きくても数メガバイト程度だった。その狭い空間に、人間の歌声をそのまま流すなど正気の沙汰ではないと思われていた時代だ。しかし、1995年に発売された『テイルズ オブ ファンタジア』は、その常識を木々に吹き荒れる風のように吹き飛ばした。
オープニングを飾った主題歌「夢は終わらない 〜こぼれ落ちる時の雫〜」は、歌手の吉田由香里が伸びやかに歌い上げる切なくも力強い名曲である。カセットに内蔵された独自の音声圧縮技術により、ゲーム機から生のボーカルが響いた瞬間、プレイヤーの誰もが耳を疑った。ゲーム音楽の歴史に、新たな時代の扉が叩き開けられた瞬間だった。