2014年1月、日本中がひとつの科学ニュースに沸き立った。理化学研究所の発生・再生科学総合研究センターに所属していた小保方晴子氏が、万能細胞「STAP細胞」の作製に成功したと発表したからだ。ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授の研究室で得た着想をもとにしたとされるこの研究は、従来の分子生物学の常識を覆し、再生医療の未来を大きく変える夢の発見と称賛された。
しかし、栄光の時間は長くは続かなかった。論文内の画像データに対する疑義が相次いで発覚し、研究の再現性を確認できないまま騒動は泥沼化。理化学研究所による調査と検証実験を経て、論文は撤回された。研究所を去った彼女を待ち受けていたのは、科学界からの激しいバッシングと、メディアによる夜も昼もない取材攻勢だった。騒動から年月が流れた2026年現在、彼女は研究の世界から完全に身を引いている。