ミルキングとは?ドレーン管理の手順・禁忌と下肢筋ポンプの違いとは一体何なのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。
ドレーンはその留置部位によって周囲組織の耐圧性やリスクプロファイルが大きく異なります。術式ごとの特性を理解せずに一律の処置を行うことは医療事故の温床となります。
ドレーン種別・留置部位手技時の発生陰圧・特性データ一般的な臨床判断・実施基準編集部の専門的評価と安全管理胸腔ドレナージ
(気胸・血胸・開胸術後)手技により-100〜-300cmH2Oの瞬間陰圧が発生。血塊閉塞の頻度は約5〜12%。血性排液の凝固塊による閉塞時のみ限定実施。呼吸性変動消失時。過度な陰圧は肺実質や胸膜を吸引損傷させるリスクがあるため、原則として必要最小限にとどめる。腹腔ドレーン
(消化器外科術後・骨盤腔)強いミルキングで最大-400cmH2O超に達する報告あり。組織吸着率が高い。ルーチン実施は厳禁。吻合部近傍留置時は原則禁止、医師の指示必須。大網や脆弱な小腸漿膜をドレーン孔に吸い込み、出血や穿孔、吻合部破綻を招くリスクが極めて高い。心嚢・縦隔ドレーン
(心臓血管外科術後)閉塞による心タンポナーデ発生率は1〜3%。迅速な開通維持が生命直結。血栓閉塞兆候が見られた場合、プロトコルに基づき速やかに実施。閉塞が心不全・心停止を直発するため実施の閾値は低いが、専用ローラー等を用い愛護的に行う。脳室・脳槽ドレーン
(脳神経外科領域)微小な圧力変化(数cmH2O)で頭蓋内圧(ICP)に直接影響。絶対的禁忌。看護師による独断のミルキングは完全不可。脳組織の直接吸引や急激な頭蓋内圧変動による脳ヘルニア・再出血の危険があり、医師以外の処置は許されない。