日本の移動体通信産業における1990年代半ばは、まさに群雄割拠の時代だった。その覇権をめぐって烈しいシェア争いを繰り広げたのが、強大なインフラを擁するNTTドコモと、若者向けの鋭いマーケティングで急成長を遂げた東京テレメッセージである。
両社は端末の軽量化やポップなカラーバリエーション、さらには文字表示機能の拡充を次々と打ち出した。スーツの胸ポケットから女子高生のバックパックへと主役が移り変わる中、この2大キャリアによる熾烈なインフラ整備と端末開発の競争こそが、後のモバイルIT立国・日本の礎を築いたのである。