彼らが演奏した楽曲こそ、後にミリオンセラーとなる『さよなら人類』だった。作詞・作曲を手掛けた柳原陽一郎の描く世界観は、キャッチーなメロディの裏に痛烈な文明批評と不条理なペーソスを孕んでいた。「今日人類がはじめて木星に着いたよ」というあまりにも唐突なフレーズ、そして「ついたー!」という絶叫。それは当時、狂乱の様相を呈していた第二次バンドブームに対する、最も強烈で無邪気なカウンターパンチだったのだ。
たまの音楽的ルーツは、単なるノベルティソングではない。1970年代の日本のフォーク・ロックやアヴァンギャルド、さらには有頂天のケラリーノ・サンドロヴィッチが主宰したアングラカルチャーの総本山「ナゴムレコード」の文脈を色濃く受け継いでいた。商業的なフォーマットに飼いならされていない純粋な表現欲求が、洗練されたアンサンブルと混ざり合い、奇跡のようなポップスへと昇華されていたのである。