日本中を爆笑と感動の渦に巻き込んだ『スウィングガールズ』や『ウォーターボーイズ』。矢口史靖監督が解き放つコミカルでテンポの良いストーリーラインは、計算し尽くされた編集の結晶だ。演奏シーンの熱量、不器用な高校生たちが放つ一瞬の表情。NGとOKの境界線を見極め、最もグルーヴ感のあるカットを繋ぎ合わせる作業は、まさに職人技と言える。
撮影現場で生まれた膨大な素材から、映画としての「リズム」を抽出する工程。日本アカデミー賞協会からも高く評価されたその技術は、エンターテインメント作品におけるひとつの到達点を示した。一瞬のコマ詰めでギャグのキレが変わり、コンマ数秒のタメで涙が溢れる。スクリーンで起きる奇跡の影には、編集室での気の遠くなるような試行錯誤が存在している。