1989年に出版された武田久美子の伝説的写真集『My Dear Stephanie』(集英社)。この一冊こそが、日本のグラビア写真集の歴史を決定的に変えた。撮影現場でのエピソードは、今なお関係者の間で語り継がれている。
ロケ地となった南国のビーチで、スタッフが偶然手にした本物の貝殻。あまりに突飛なアイディアに見えたが、武田久美子は一切の躊躇を見せなかった。むしろ、その造形が自らの身体ラインとどう調和するかを冷徹なプロ意識で見極めていたという。撮影は一瞬の緊張感の中で行われ、シャッターが切られた。集英社の編集室に上がってきたポジフィルムを見たスタッフたちは、その圧倒的な完成度に言葉を失った。この撮影裏話は、グラビアアイドル業界におけるクリエイティビティの基準を一段引き上げる結果となったのだ。