あの夜、テレビ画面の前で息をのんだ視聴者がどれほどいただろうか。日本テレビ系の人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』の海外ロケ。舞台は、熱気に包まれた台湾の夜市とコンサート会場だった。
当時、珍獣ハンターとして地球の果てを駆け巡っていたイモトアヤコ。彼女の部屋の壁一面を埋め尽くしていたのは、平成の歌姫・安室奈美恵のポスターだった。過酷なロケで心が折れそうになるたび、彼女を支えたのは彼女の歌声だ。スタッフが極秘裏に準備を進めたサプライズ企画は、ドッキリの枠を遥かに超えた緊張感のなかで実行された。
チャイナドレスを纏った安室奈美恵が、お茶を提供する給仕係として静かに背後に立った瞬間。その空気の揺らぎを、今でも鮮明に覚えているファンは多い。仕掛け人でありながら、あまりの神々しさに直視できず崩れ落ちたイモト。カメラが捉えたのは、タレントとアーティストという関係を超えた、純粋すぎる敬意と愛の原風景だった。