世間では「宗教法人は税金を払わないから得をしている」という言説がまことしやかに囁かれている。文化庁の宗教統計によれば、日本全国には約7万7000の寺院が存在するが、その収益構造は一般企業とは全く異なる。税制上、お布施や戒名料などの「宗教活動収入」には法人税がかからない。これが非課税特権と呼ばれるものの正体だ。
だが、ここには大きな誤解がある。法人が非課税であっても、住職個人が寺から受け取る給料(役員報酬)には、当然ながら所得税や住民税が課される。税務署の目は厳しく、個人的な生活費を寺の経費として落とすことは許されない。しかも、全宗教法人のうち、住職の専業だけで十分な生活費を賄えている寺院は全体の3割強に過ぎないという衝撃的なデータもある。世間が抱く「お寺=不労所得のパラダイス」という幻想は、第一歩から崩れ去る。