東日本大震災以降、新海作品は常に「抗えない自然の猛威」や「失われた都市」への鎮魂歌(レクイエム)としての側面を強く帯びていた。『すずめの戸締まり』で日本各地の廃墟を巡り、記憶の扉を閉める旅を描き切ったことで、ひとつの大きなテーマ的サイクルが完結したと見る批評家は多い。
「同じ場所にとどまり続ける気はない」。新海は過去のインタビューでそう繰り返していた。内部スタッフの証言によれば、最新作のプロットには、災害後の世界で「いかに生き直すか」という、より個人的で内省的な問いが組み込まれているという。スケールの大きな世界変動を描きつつも、焦点は徹底して個人の内面へと深く掘り下げられている。