北方ヨーロッパの地で異彩を放つのが、ベルント・ノトケによる大作だ。エストニアのタリンやドイツのリュベックに残された彼の作品は、広大なパノラマの中に無数の人物と死神が交互に並ぶ壮大な行列を描き出している。
衰退期を迎えたゴシック美術の濃厚な色彩と劇的な情念が凝縮されたこれらの壁画は、「メメント・モリ(死を想え)」というラテン語の警句を最も鮮烈に体現した視覚体験であった。死を恐れつつも、それを受け入れることでしか得られない魂の救済。ノトケの絵筆は、逃れられない運命と対峙する人間の生々しい感情を鮮やかに現代へと伝えている。