プラバンの主原料は一般的にポリスチレン(PS)樹脂です。ポリスチレンの表面は分子レベルで非常に滑らかで、水を弾く「疎水性(親油性)」を持っています。一方、一般的な水性ペンのインクは水を主溶剤として構成されており、液体同士が引き合って丸まろうとする「表面張力」が強く働きます。
ツルツルとした非吸収面のポリスチレン上に水性インクを置くと、インクが素材表面に濡れ広がる力よりもインク自身の表面張力が勝ってしまい、水滴状に収縮して弾かれてしまいます。これが、プラバンに水性ペンで描けない直接の物理的原因です。
かつてプラバン工作といえば「油性ペン(マッキー等)」が定石とされてきました。油性インクは有機溶剤を含んでいるためプラスチック表面に馴染みやすく弾きません。しかし、小さな子どもが扱う際の有機溶剤臭への懸念や衣服への付着時の落としにくさ、さらには油性ペン特有の「強い黒フチ」や原色感から脱却し、淡いニュアンスカラーを表現したいというニーズが現場で急速に高まっています。