モロッコ代表の躍進を語る上で、ピッチ上の戦術論と同じくらい重要視されているのが、選手たちを包む強烈な「情緒的結束」とサポーターのエネルギーです。
カタール大会のスタンドを真っ赤に染め上げたモロッコサポーターの熱量は、中東・北アフリカ地域全体の団結を生み出しました。特に世界中で称賛されたのが、試合終了後にハキミやブファルらがスタンドにいた実の母親をピッチに招き入れ、抱擁を交わして共に踊った光景です。これは単なるパフォーマンスではなく、レグラギ監督が掲げた「家族同伴ポリシー」の賜物でした。
「母親や家族の存在こそが、選手たちにエゴを捨てさせ、国のために戦う誇りを思い出させる」という指揮官の哲学は、移民社会特有のアイデンティティの葛藤を乗り越える決定打となりました。SNS上でも「これほど家族愛に溢れ、胸を打つ代表チームはない」と世界的な共感を呼び、チームの心理的安全性を極限まで高める結果をもたらしたのです。