本作の熱量と真実味を支えているのは、間違いなく主要キャスト陣の鬼気迫る演技だ。当時、注目の若手俳優として急速に頭角を現し始めていたクリス・エヴァンスは、市井の青年が予期せぬ巨悪に巻き込まれていく焦燥感と勇気をリアルに体現してみせた。
一方で、壊れた電話器を即興で修理してSOSを発信する高校教師役を演じたキム・ベイシンガーの演技も見逃せない。アカデミー賞女優である彼女の絶望と知性が交錯する表情演出は、スクリーン越しに観客の動悸を直接揺さぶる。声と電波だけでつながる二人の距離感が、このサスペンス映画の緊張感を極限まで高めているのだ。