一人の歴史人物が、これほどまでに茶の間の感情を揺さぶった例は珍しい。かつて重厚で硬派なファン層に支えられていた時代劇の世界に、若い女性層や普段歴史に関心を持たない人々が一気に流入した。その引き金となったのが、スマートな佇まいと情熱的な理念を併せ持つ「五代様」の存在である。
近代日本の黎明期を描いた歴史ドラマは、それまでの「刀を交える立ち回り」中心の作品とは一線を画した。知識と対話、そして経済構想を武器に世界と渡り合う姿が、現代を生きる視聴者の胸に強く刺さったのだ。劇中で彼が最期を迎えた放送回では、SNS上に追悼の投稿が溢れ返り、翌日の職場や学校では「五代ロス」が共通の話題となった。エンタメ作品の枠を超え、一つの社会現象として記憶に刻まれた瞬間である。