カルト=ゾルディックのビジュアルを一目見た読者の多くが抱く最大の疑問が「性別」です。艶やかな和服を纏い、華奢な体躯と長い睫毛を持つ容姿は少女そのものに見えますが、公式ガイドブック『HUNTER×HUNTER キャラクターズブック 秘伝 導きの書』および原作の公式家系図において、カルトの性別は明確に「男(五男)」と定義されています。
ゾルディック家の子供たちは、長男イルミ、次男ミルキ、三男キルア、四男アルカ、五男カルトと、5人兄弟全員が男児として生まれています。それにもかかわらず、なぜカルトが女性の着物を着用しているのか。その深層には、母親であるキキョウ=ゾルディックとの心理的力学が存在します。
流星街出身である母キキョウは、我が子に対して狂気的なまでの愛情と支配欲を抱く人物です。三男キルアが自分に反抗し家を出て行った一方、末っ子のカルトは常にキキョウの傍らに寄り添い、従順な「着せ替え人形」としての役割を担わされてきました。家族社会学でいう「母子カプセル」状態に置かれた結果、母親の嗜好を全面的に受け入れる形で女装の暗殺者として完成された経緯が読み取れます。
なお、メディアミックスにおける担当声優は、1999年版の旧アニメシリーズでは日比野朱里氏(後の前川涼子氏)、2011年の日本テレビ版アニメでは能登麻美子氏が務めました。感情を極限まで抑え込んだ静謐かつ怜悧な少年ボイスは、カルトの持つミステリアスな魅力を完璧に表現しています。