本作が数ある朝ドラの中で突出した評価を獲得し続ける最大の理由は、脚本家・渡辺あやが紡ぎ出した妥協のない人間描写にあります。従来の朝ドラにありがちだった「清貧で無謬なヒロインが周囲に助けられて成功する」という予定調和を徹底的に排除。主人公・小原糸子は情熱的で口が悪く、時に激しい怒りを露わにし、欲望やエゴを抱えながらも前を向いて突き進む、生々しいまでに立体的な女性として描かれました。
戦時下の物資不足や空襲の恐怖、愛する夫の戦死といった重厚なテーマを真っ向から扱いながらも、関西特有の小気味よいユーモアを失わない絶妙なバランス感覚は圧巻の一言です。その卓越した完成度は視聴者のみならず批評家からも絶賛され、第49回ギャラクシー賞大賞をはじめ、放送文化基金賞など名だたる賞を総なめにしました。
視聴者の間でも「1話たりとも無駄なシーンがない」「人生の酸いも甘いもすべて詰まっている」と絶賛され、朝ドラの枠組みを超えた連続ドラマの金字塔として今も語り継がれています。