話は1970年代に遡る。1973年、アメリカの医師サンダース・T・フランク(Sanders T. Frank)が、狭心症を患う患者たちの耳たぶに共通して斜めの深い亀裂が存在することを発見した。この観察結果が世界的権威を持つ医学誌『The New England Journal of Medicine』に報告されたことで、耳たぶの斜めシワは彼の名をとって「フランクサイン」と呼ばれるようになった。
当時、皮膚の表面変化と心臓疾患を結びつける考え方は異端視されることもあった。しかし、半世紀近くを経た今、医学文献データベースPubMedで検索すると、耳のしわと循環器系疾患の関係を追究した膨大な研究論文が蓄積されている。臨床の現場では、視診における重要な指標の一つとして受け継がれている。