交雑牛の生産は、日本の酪農・畜産業界のセーフティネットとしての側面も持つ。現在、生乳の需要低迷や飼料価格の高騰により、国内の酪農家は極めて厳しい経営状況に置かれている。乳牛であるホルスタインのメスに黒毛和牛の精子を人工授精させ、生まれた交雑種の仔牛を肉用として売却することは、酪農家にとって重要な副収入源なのだ。
しかし、このシステムも盤石ではない。和牛の精液価格の上昇や、子牛の取引価格の乱高下は、生産者の肩に重くのしかかる。私たちが安価で美味しい肉を食べられる裏には、綱渡りの経営を続ける国内農家の血の滲むような努力があることを忘れてはならない。