歴史の影を追う旅から一転、街の南部に足を進めると、土と火が織りなす温もりあふれる風景に出会う。日本六古窯の一つに数えられる信楽焼の産地だ。NHK連続テレビ小説『スカーレット』の舞台として一躍全国にその名を知らしめたこの工房街では、今も煙突から立ち上る煙が風にそよいでいる。
朝ドラ放映以降、若い陶芸家たちの参入が相次ぎ、古き良き狸の置物だけでなく、日常の食卓を彩るモダンな器や洗練されたインテリアが次々と生み出されている。窯元を歩けば、伝統の技を守りながら新しい表現に挑む職人たちの熱気と、土の匂いが心地よく五感を刺激する。