本作の持つ独特の熱量は、脇を固める実力派俳優陣の凄まじいアンサンブルによって生み出されています。ゴローを演じた古尾谷雅人は、前年の映画『ヒポクラテスたち』で日本アカデミー賞新人賞を受賞し、まさに時代の寵児として輝いていた時期でした。ナイーブでありながら粗野なエネルギーを放つ彼の演技は、ゴローという不器用な若者のリアルそのものでした(古尾谷さんは2003年に惜しまれつつ急逝しましたが、その魂の演技は今も高く評価されています)。
さらに、さち乃を翻弄する中年男・テルミン役の山崎努は、圧倒的な重厚感と怪しげな色気で画面を支配。そのテルミンの兄役として登場する故・原田芳雄の存在感も強烈で、男臭さと大人のダンディズムを存分に見せつけています。その他にも、室田日出男、石橋蓮司、大地康雄、竹田かほる、浅野真弓といった日本映画界の重鎮たちが顔を揃えており、画面の隅々に至るまで贅沢なキャスティングが施されています。
浅野温子はその後、80年代後半から90年代にかけて『抱きしめたい!』や『101回目のプロポーズ』などの大ヒットドラマで一世を風靡。2026年現在も舞台や映画で円熟味あふれる演技を披露し続けており、そのキャリアの原点として本作は欠かすことのできない作品です。