市販の入れ歯粘着剤を選ぶ際は、製品ごとの物理的特性を理解しておくことが満足度を左右します。薬局やドラッグストアの店頭で迷わないために、主要3タイプの長所と短所を掘り下げます。
入れ歯安定剤 クリームタイプの代表格である「新ポリグリップ 極細ノズル」などは、細い絞り口によって塗布量を精密にコントロールできる点が大きな進化を遂げています。従来の太いノズルで起こりがちだった「はみ出し」や「口の中の不快な広がり」を抑え、義歯の縁ギリギリまで的確に塗ることで、食べかすの侵入を強力にブロックします。密着面積が広いため、せんべいや肉類などしっかり噛み応えのある食事でもズレにくいのが最大の特徴です。
一方、タフグリップ クッションに代表される入れ歯安定剤 クッションタイプは、酢酸ビニル樹脂を主成分とした適度な弾力を持つペーストです。義歯の裏側に厚みを持たせて吸着させるため、歯槽骨(顎の骨)が吸収されて義歯との間に隙間ができている場合に威力を発揮します。一度装着すれば数日間つけたまま洗浄できる製品もあり、毎日の塗り替えが面倒な層から根強い支持を集めています。
取り扱いの簡便さで評価を高めているのが、不織布に海藻由来の天然粘着成分を染み込ませたシーボンド シートタイプです。水に濡らして義歯の内側に貼るだけでセットが完了し、外す際もシートごとペロリと剥がせるため、粘着剤特有の「口内に残るヌルヌル感」を嫌う利用者に選ばれています。
また、部分入れ歯と総入れ歯の安定剤の違いにも注意を払わなければなりません。総入れ歯(総義歯)は粘膜全体の吸着力で支えるためすべてのタイプが使用可能ですが、部分入れ歯(部分義歯)には金属のバネ(クラスプ)や金属床が組み込まれています。クッションタイプの一部はプラスチック床専用となっており、金属部分に使うと変色や変形、剥離困難などのトラブルを招く恐れがあるため、パッケージの適用表示の確認が必須です。